この頃のファッションは流行り廃りのサイクルが恐ろしく早かった。
私が中学校2〜3年の1981年前後にはサーファーブーム。みんなサーフブランドのトレーナーやTシャツを着ていた。タウンアンドカントリーとか、アルパとか。鮮やかな色使いのマークは新鮮で格好良かった。ちょい大人だと、バックプリントのシャツか。これだとファションじゃなくて本当のサーファーっぽく見えた。
その少し前にはテニスブランドが流行っていたと思う。タッキーニとか、フレッドペリーとか。テニス部にいたこともあって、これらは結構着た。ポロシャツという意識ではなく、テニスブランドという意識で着ていた。
話が激しく前後するのだが、サーファーブームはあっと言う間にすぎて、1982年にはアイビーが流行ったと思う。ローファーにコインを挟んだり、アイビーリーグの紋章のついたスタジャンとか、シャツもボタンダウンとか。
私もこれは随分いろいろ買った(買ってもらった)。今考えると、グレーのフラノのパンツを中学生が何本も持っているというのは随分と贅沢なことだったと思う。サーファーファッションとの接点は完全にゼロ。私は普段制服のある中学生だったから良かったけど、その頃の大人たちは服にかかるお金は大変なものだったのではないかと思う。
このアイビーも2年くらいしか持たず、1984年にはDCブランドが先鋭的な(今見るとすごくダサい)ファッションで攻めてきた。テーパードのジーンズに幾何学的なざっくり編んだセーターとか、肩パッドの入ったジャケットとか。それになぜか小脇にクラッチバッグ。これも長続きせずに、1985年にはモノトーンで全身黒づくめみたいな、わかりにくいファッションになっていった。この頃、モノトーンが高校生にはちと早いという感じがしたのと、それなりに持っていたアイビーのワードローブを着崩すという感じで、Pコートやらダッフルコートと色鮮やかなストライプのマフラーをタイトなパンツやジーンズと合わせるといった、アメカジの始まりみたいな着方をよくしていたと思う。
そしてようやく冒頭に書いた1987年に話が戻ります。人に読んでもらおうと思わないで書くと、こんなにも文章は雑に、冗長になるのかと驚きつつ、筆を進めます。
1987年は、私にとっては屈辱(当時はそう考えていた)の浪人時代の終わり。あるいは大学生活の始まり。とりたてて強い目的意識もなく、本当に普通に大学生活が始まったとき、まずは服をあれこれ買ったことをよく覚えている。ミツミネとかタカQ、それにイトーヨーカードー。イトーヨーカドーは当時はメンズファッションに結構力を入れていて、ミツミネなどに負けないほどの流行りの、あるいは尖った服を作っていた。
どれくらい尖っていたかというと、当時、ジョガーパンツを売っていたのだ。ジョガーパンツは2016年くらいに一般化したと記憶している。30年も前に実はジョガーパンツがあったのだ。今でもそのデザインをよく覚えている。カーキでテーパード、それにサイドにはサメのエラのような飾りのついたポケット(サープラスと差別化したかったと推定)。今あったら喜んで履きたいくらいのデザインだった。
シューズも充実していた。リーボックのハイカットを買ったのもイトーヨカドーだったと思う。これにトップスはリーバイスのジージャンをよく着ていた。フォルムがややゆったりだが、今着ていたとしてもおかしくないファッションセンスなのではないかと思う。
これが4月の桜が咲く頃、大学の入学式のすぐあとくらいに着ていた服。
そして、クラスの初めてのコンパが開催された渋谷で、あるお店と運命的な出会いをすることになる。
いくらなんでも長くなった。続きはまた明日。