2018年6月19日火曜日

空気の味

奥多摩に行った。小雨でしっとりした空気が実にうまかった。
晴れている日は嫌いではないけど、好きではない。何もかもが馬鹿みたいな発色になるからだ。目に優しくないというか。
こういう小雨の日は一つ一つのものが本当の色をたたえているように見える。人間の出す音も響かないので、心も落ち着く。静かになるという点では雪の日がいいけど、景色も見えなくなるので、やはり霧雨から小雨くらいの日がいい。バイク乗るには向かないけどね。

蕎麦屋さんの建物は実に味わい深かった。有り体に言えばボロなのだけど、学生時代の合宿所みたいな雰囲気といおうか。全てが木で作られていて、肌に馴染むというか。少し埃っぽさもあるのでアレルギー持ちにはきついけど。
座敷の窓から見る景色は、学生時代の夏合宿の定宿だった長野の「清水山荘」にそっくりだ。
清水山荘には大学1年から3年まで3回も行った。もうあまり記憶にないのだけど、9月初めに行っていたと思うのだ。長野の9月はとても寒くて、トレーナーはおろか、MA-1を着ていても寒いくらいのときがあった。小雨の降る日にピアノの置いてある小さな体育館のようなところで座布団をたくさん敷いて、そこで勉強するのが好きだった。古い木の匂いと、しっとりした空気。それに少し遠くから聞こえてくる先輩や同期の声。良い思い出があまりない50年の中で、思い出しても嫌にならない貴重な記憶だ。
そんな、貴重な記憶を呼び起こしてくれるような蕎麦屋さんだった。
でも肝心のお味が・・・不味くはないのだけど、感動がないというか。山菜の天ぷらも油のキレが悪い。味は野趣あふれる濃い味で良いのだけど、胸焼けするのはちょっと。
全てがオール100点になんてなかなかならないのだけどね。空気の味をプラスして100点だった1日ということにしておこう。

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